『天使の予備軍』


「きつい」「汚い」「危険」の
代名詞の仕事を何故選ぶのか
給料も仕事の割には安いし
立場的にもドクターの
助手のように扱われて
生活時間も不規則・・・

本当に、人が苦しい時に
手を差し延ばしてあげる
動けない時に
手足の代わりになってあげる
それだけ魅力のある職業だと思うけど
今の若い人は、極力避けたがるのに・・・
そこまでして「なりたい」と頑張れるほど
貴女の過去で何かが気持ちを動かしたのですね
私はそこが知りたい


「エッセイ」

仕事ならば、お金を稼ぐだけなら他にいくらでも方法はあります。
それに、看護婦さんの仕事は、「8K」とも言われているものです。
そんなところにわざわざ飛び込んでくる学生さんは凄い。勉強も実習も大変です。
看護婦さんになれたとしても人の命を守る仕事ですので、
なまやさしいものではありません。
それがわかっていて、それでもこの世界に飛び込んでくるのですから、
『白衣の天使』になる素質は十分にあると思います。
私は、気管切開をして人工呼吸器を付け、確かに呼吸は楽になりました。
しかし、その事によって、声を出せなくなってしまったのです。
自分では何も出来ず、人にしてもらわなければならないのに、
何をして欲しいのか意志を伝達する手段がない。
今まで簡単に出来ていたことが出来なくなり、
これほど情けなく、つらいことはありませんでした。
そんな時に救世主が現れたのです。
その人は看護学生さんで、 実習のために私に一ヶ月付いてくれました。
学生さんは、何とか私とコミュニケーションをとろうと必死でした。
何日かすると、その学生さんは、私の唇の動きを読み取るようになり、
病院の中で唯一私とコミュニケーションを交わせる人になったのです。
先生や看護婦さんはもちろんのこと、面会者の間に入って 通訳までしてもらっていました。
今考えると、あれは「学生さん」だからこそできたことではないかと思います。
時間的にも長い間関わることが出来たし、私 だけを看ていれば良かったし、
「何とかしてあげたい」という強い気持ちがそうさせたのではないでしょうか。
いつまでも情熱を持ち続けて、患者が喜ぶ看護を心がけて欲しいです。