『甲子園の魔物』




第六十六回全国高等学校野球選手権大会
決勝戦 九回裏 ノーアウト ランナー無し
三対四で負けている時
突如、魔物が現れた

私が打った打球はスタンドへ

確かに『甲子園』に魔物が住んでいた私は魔物に好かれた一人
私は魔物に助けられた一人
もしかすると
相手から見た魔物は私だったのかも・・・。


「エッセイ」

甲子園は凡人だった者をスターに変身させる力を持っていると思います。
1つのプレーで、スポーツニュースに流れ、翌朝のスポーツ新聞の1面を飾る。
これが18歳の若者にはこたえられないほど最高のものなのです。
私が高校3年の夏の選手権大会、決勝戦9回裏に私には見えませんでしたが、
魔物が力を貸してくれたのです。
あの絶対に忘れられない『同点ホームラン』は、奇跡です。
打った本人が言うのですから間違いがありません。
魔物が力を貸してくれなかったらきっと打てなかったでしょう・・・。
“甲子園名物”魔物ですが、私にしたら凄い“イイ人”
(人なのかも良くわかりませんが・・。)です。
そのおかげで、私はこういう身体の状態でも「生きていこう!」と思えるのです。
勿論、「あの時あれだけできたのに今は・・・。」と落ち込むときもありますが、
あのホームランは身を持って“最後まで諦めるな!”ということを教えてくれました。
だから、この大嫌いな身体の状態でも、あのホームランがある限り生きていけます。