『人差し指』


1ヶ月の間に2回も
全身麻酔を受けることになるなんて
しかも、腰椎麻酔のはずが
随液が返ってこないということで
急きょ全身麻酔に・・・
身体がだるくって・・

喉が痛くって・・
目が覚めた時
涙がポロリとこぼれた
その時、そっと看護婦さんが涙を
人差し指でぬぐってくれた
普通ならハンカチやティッシュで拭くと思う
だけど、何のとまどいもなく手が出る
そこが「看護婦さん」であり
そこが私の大好きなところでもあります。


「エッセイ」

女性の手は、色は白く、指は細長く、ツルツルとした肌で、
マシュマロのように柔らかいイメージがあります。
そのイメージに比べて、看護婦さんの手は、年がら年中ザラザラで、爪も短く、
極めつけにいつもメモの代わりに、いろいろな数値や絶対に忘れてはいけないことが書いてあります。
これって、正直な話、色気は感じない・・・・・・。
でも、昨年、こういうことがありました。
腰椎麻酔で手術をする予定が、急きょ全身麻酔で手術をすることになりました。
麻酔から目が覚めると、無事に手術が終わった安堵感から、涙が一粒ほほを流れました。
その時、看護婦さんが何のちゅうちょもなく、指で涙を拭ってくれました。
普通の人なら、ハンカチやティッシュを探すと思います。
でも、探している間に涙は下に落ちてしまいます。それでは遅いのです。
それに「汚い」と思う人もいるかも知れません。
もしかすると、涙さえも気づかないかも・・・・・・。
きれいに爪を伸ばして、色鮮やかなマニキュアを塗り、
ツルツルとした白い手、細長い指にはダイヤモンドの指輪が輝いている。
それよりも私は、いつもカサカサで、メモ代わりに使われていて、
しかも患者の涙で手が光っている。そんな手のほうが大好きです!