『担ぐ』


階段なんかどうってことない
でも、車椅子に乗っている者にとって
大きな壁と同じ
そこを人間は車椅子を担ぐ
だけど、車椅子は担ぐ物ではない

街を歩けば階段がある
何の不思議でもないことだ
車椅子が階段を上られない
何の不思議でもないことだ
それなのにエレベータもなければ
スロープさえも着いてない所が多すぎる

車椅子は、御輿とは違う
車椅子は、物でもない
車椅子は、歩けない人の足と同じ

車椅子は、絶対に担いではいけない



「エッセイ」
車椅子で外出すると不便で仕方がない。段差は当たり前、階段は当然のように私の前を立ちはだかる・・・。しかも、1階は駐車場の所が多く、2階に店がある所が多いのです。そんな所に車椅子でどうやって上がれというのか? そんな時、みんなで担ごうとするのですが、乗ってる方はどれだけ怖いかご存じですか? もし、落とされてケガをしたら誰が責任を取ってくれるのでしょうか?
 面白いのが、以前、階段の前で駅員さんを待っていると、酔っぱらいが「兄ちゃん困ってるんやろ、おっちゃんが持ったろ」というのですが、私達の間では「絶対に酔っぱらいには持ってもらうな。絶対に落とされる。」と言われています。現にその被害にあった人も知っています。だから、酔っぱらいに声をかけられたときに「いいです。今、呼びに行ってますから・・。」と言うのですが、「兄ちゃん、遠慮せんでええ!」というのです。私は落とされるのが怖いだけなんですけど・・・。
 食事をするときでも、普通であれば「何を食べる?」からですが、私の場合は、まず“車椅子の入れる所”を探して、その入れる店の中で食べる物を決めないといけないのです。もっともっと人に優しい街になって欲しいと思います。